みらいからじかんはながれる例1

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ー以下引用ー

「是が非でも私たちのもとに届くことを望んだ書物たち」の章で、面白いことが語り合われています。
「書物の一冊一冊には、時の流れのなかで、我々が加えた解釈がこびりついています。我々はシェイクスピアを、シェイクスピアが書いたようには読みません。したがって我々のシェイクスピアは、書かれた当時に読まれたシェイクスピアよりずっと豊かなんです」、「書物はもちろん読まれるたびに変容します。それは我々が経験してゆく出来事と同じです。偉大な書物はいつまでも生きていて、成長し、我々とともに年を取りますが、決して死にません。時とともに作品は肥沃になり、変容し、そのいっぽうで、面白みのない作品は歴史の傍らを滑りぬけ、消えてゆきます」、「傑作は最初から傑作なのではなく、傑作になってゆくんです。もう一つ言っておきたいのは、偉大な作品というのは、読まれることで互いに影響を与えあうということです。セルバンテスカフカにどれだけ影響を与えたかということはおそらく説明できるでしょう。しかし――ジェラール・ジュネットがわかりやすく示してくれていますが――カフカセルバンテスに影響を与えたとも言うことができるのです。もしセルバンテスを読む前にカフカを読んだら、読書はカフカの影響で、みずから、そして知らず知らずのうちに『ドン・キホーテ』の読み方を変えてしまうでしょう。我々の生き方、個人的な経験、我々が生きているこの時代、受け取る情報、何もかも、家庭の不運や子供たちがかかえる問題までもが、古典作品の読み方に影響を与えるんです」。この、作品は後世の読者からの影響を受けるという指摘には、目から鱗が落ちました。 

by 榎戸誠