小確幸

いつの頃からか村上春樹を読まなくなっていた。それはあることを境に小確幸がなくなったときからだった。

こないだ村上ラヂオを聞いてふと思い立ち、東京奇譚集を読んでいたらそれに気づいた。

あたたかい5月の午後にさらさらした風と鳥の鳴き声のなかで本を読んでいたらふいに小確幸が戻ってきた。やっとあれが戻ってきた。四半世紀超えで。

小確幸があたりまえに日常にあったときと、半ば無理矢理に作り出している今とどちらを選ぶかと聞かれたら、さあどうだろう。

あれは無垢のようなもののなかにあった。エデンのような。

一度は失われた。

いまはここにある。無理矢理でも。

 

東京奇譚集 (新潮文庫)

東京奇譚集 (新潮文庫)

 

  

エデンを遠く離れて (朝日文芸文庫)
 

  

映画に目が眩んで

映画に目が眩んで

 

  

イラストレーター 安西水丸

イラストレーター 安西水丸