あおそら

自分のための走り書きらくがき帳 

おなじとへんけん

動物は絶対音感を持っています。赤ちゃんも動物に近い状態ですから、生まれた時には持っている。世間では絶対音感があるとすごいと思われますが、そうではありません。絶対音感とは、全ての音が違って聞こえるということです。違いがわかるというのは、そんなに高等なことではない。

絶対音感を失っていくことは、言葉を獲得するために必要です。お母さんに名前を呼ばれた時とお父さんに名前を呼ばれた時、「声の高さが違うからこれは違うもの」と聞き取ってしまっては、言葉は成り立ちません。音を聞き分けられることよりも、パターンを読み取り、「同じ」でくくることができることのほうが、人間には必要な能力なのです。

「同じ」を見つけられるようになることは、偏見を持ち始めるということです。偏見がないと何を見ているのか全く見当もつかない。それではものは見えない。観察するためには、そのものを見るための偏見が必要です。

                  ~ 別冊NHK100分de名著坊ちゃん P.61より

 

 レインは論理的に人の心や行動を考察していた。「精神の変調の原因は論理的に解くことができる」と示していた。大切なのは、心理ではなく論理だと私は思うようになった。                        

                  ~ 別冊NHK100分de名著坊ちゃん P.8より

引き裂かれた自己: 狂気の現象学 (ちくま学芸文庫)

引き裂かれた自己: 狂気の現象学 (ちくま学芸文庫)

 

 デカルトは、科学者になるための基本的なところを、短く、明晰に、論理的に書いている。私は自分の人生の選択の場面で参考にしようと必死に読んだ。だから、哲学書としてあの本を読む人とは違って読めたのだと思う。その後、私が学問を方法論として学んできたのも、デカルトによるところが大きい。 

                  ~ 別冊NHK100分de名著坊ちゃん P.7より

方法序説 (岩波文庫)

方法序説 (岩波文庫)