山によせて 富松良夫
ひかりのヤをはなつ朝
山は霧のなかに生れ
むらさきの山体は
こんじきの匂ひをもつ
あたらしい日を信じ
あたらしい世界のきたるを信じ
さらに深い山の発燃を信じ
にんげんの哀しさも
国の面する悲運のかげも
世界の精神的下降の現実も
わすれはてるわけではないが
いまこのあざやかな
朝のひかりのおぼれ
悠々と非情のツヨサにそびえてゐる
山にまなぼう
ひかりのヤをはなつ朝
山は霧のなかに生れ
むらさきの山体は
こんじきの匂ひをもつ
あたらしい日を信じ
あたらしい世界のきたるを信じ
さらに深い山の発燃を信じ
にんげんの哀しさも
国の面する悲運のかげも
世界の精神的下降の現実も
わすれはてるわけではないが
いまこのあざやかな
朝のひかりのおぼれ
悠々と非情のツヨサにそびえてゐる
山にまなぼう